月の土地
アメリカのある不動産業者が月の土地を販売したのがきっかけですが、昨年から日本支社を設立し大々的に販売を行っているようです。
月の土地販売については天文マニアならずとも、月好きの方々の間でもかなり以前から話題にはなっていましたが、ここに来てとある旅行代理店が春のキャンペーンと題しCMで「月の土地プレゼント」をアナウンスしていることから、多くの方の間で話題となったようです。
月の土地の所有については以前から色々と論議されてきましたが、現時点において月の土地を国家の所有地などとしてはいけないという条約があるだけですので、個人が勝手に所有権を主張しても法的に罰せられることはないという考えに基づいているようです。
ところが、これによく似たことが最近紙面で騒がれている事件として存在しています。
それは、身に覚えのないコンテンツ事業者などから多額の利用料を請求されるという事件です。
この事件について、現在の法律では架空請求書を送付すること自体を禁じた法律がないために罰せられることがないといいます。
しかし、この架空請求については、請求額が支払われた段階で詐欺罪が適用されるというのです。
この犯例で見て行ったときに、個人で月の土地の所有権を主張することは罪にはなりませんが、この土地の代金を支払った段階で不動産業者に詐欺罪が適応されるのではないのか?ということです。
日本やアメリカなどが加盟している宇宙協定では、月は国家による領土、占拠地とならないとされていて、個人による所有については言及されていませんが事実的に不可能であることが読み取れます。
また、国連では月協定という物が存在していて、すでに数カ国は批准をし、日本においても早々の批准が望まれています。
この月協定では、月の表面上又は月の表面下におけるいずれの場所においても、月の探査及び利用の活動を行うことができるとされています。
つまり、個人で購入した月の権利書の有無にかかわらず、月協定に署名または批准している国家によって、月の利用は自由に認められているので、月の権利書は必然的に効力を持たない物になるわけです。
こうした事実のうえで権利書を販売し料金を支払わせることについて、詐欺商法としてのレッテルが貼られるのも近いことだと思います。
ちょっとしたお遊びや洒落と割り切ってならまだしも、本気で月の土地を購入できると思っている方が多く、ここまで流行ってしまったことに何らかの問題があると言えます。
もう少し早い段階でいずれかの国家または政府(所轄官庁)で架空土地取引上の規制を行うべきであったのではないかと思えてなりません。
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コメント
"ちょっとしたお遊びや洒落と割り切ってならまだしも、本気で月の土地を購入できると思っている方が多く、ここまで流行ってしまったことに何らかの問題があると言えます。"
すばらしい洞察ですね
事実、莫大な金額をなんのやくにもたたない紙切れに投じている人がたくさんいらっしゃるようです
投稿: | 2009.12.13 15:46